第七回在宅医療勉強


すぎなみ在宅診療所で第七回在宅医療勉強会が行われました。今回の勉強会は、QOL維持のための貧血治療について症例検討を行いました。
今回も多くの方にご参加いただき、ありがとうございました。また次回の在宅医療勉強会も何卒、宜しくお願いいたします。

在宅医療勉強会の様子
在宅医療勉強会の様子

第一回在宅医療勉強会の様子

第二回在宅医療勉強会の様子

第三回在宅医療勉強会の様子

第四回在宅医療勉強会の様子

第五回在宅医療勉強会の様子

第六回在宅医療勉強会の様子

在宅医療の症例検討

CASE1~QOL維持のための貧血治療

独居。室内で倒れている所を発見され救急入院されました。低栄養と、貧血に対する治療を受け退院となります。
以後外来通院していたが、下肢浮腫と褥瘡が出現し、当院へ往診の依頼がありました。

初回往診 血液検査施行。通院中は1日3回の処方を、薬剤師が訪問服薬指導にてカレンダーに設置。
飲み忘れ多く、1日1回に変更し、ヘルパー介助で内服させることにしました。
担当者会議:1日1回のヘルパー訪問と週2回のデイサービスを利用。

腹部エコーにて前立腺肥大と膀胱内の残尿を認めたため、αブロッカー追加投与し、
腎性貧血に対しネスプ30μ注を隔週で開始、また鉄剤の静脈注射も合わせて開始しました。
血圧は120~130/70~90で安定し、食事摂取良好となったが浮腫は改善されません。
血清鉄値がさらに低下したので、静脈注射と並行して鉄剤内服も開始しました。

貧血の改善を認めないためネスプ注を30μから60μに増量しました。Hbが10を超え、貧血が改善傾向あり。
両足の浮腫も軽減しつつある。食欲が増しており、顔色も良好となった
Hbが12.7まで上昇し、浮腫もさらに軽減している。

浮腫がほとんど目立たなくなり、靴下をはけずにいたのがこの頃からはくようになりました。
本人からの訴えはなくなり、浮腫が消失したことを喜んでHbが14を超え、ネスプは隔週から月1回投与に変更しました。
元気にデイサービスに通って活気がでて、足が軽くなったことを喜んでいます。

CASE1~メモ

独居、男性。慢性腎不全による腎性貧血から下肢浮腫をきたし、歩行困難となった。

内服を1日3回から1回に回数を減らし、必ず介護者により確認することで服薬コンプライアンスが良くなった。

薬剤師による服薬指導が入り、残薬の確認がスムースになり、本人の病気への理解が深まった。

エリスロポエチンと鉄剤を適切に投与することで腎性貧血の改善とともに全身状態とADLの改善、さらには腎機能悪化を予防することが可能であった。



糖尿病について

CASE2~QOL維持のための貧血治療

初回往診 病院での血液検査(BUN57.3、Cr2.82、Hb8.2)。隔週でエスポー6000単位皮下注射開始(BUN66.5、Cr3.04、Hb9.6、Fe43)
貧血改善せず、ネスプ30μgに変更。自覚症状は腰痛のみ。貧血かわらず、ネスプ60μgに増量しました。

血清Fe32と低値。鉄剤フェロミア内服開始。Fe85と上昇、ネスプ注を継続します。
嘔気が強くなり、食事摂取が困難となり、貧血はHb11.8に改善したが、BUN86.1、Cr4.02と上昇。
このための嘔気と考えられ、キドミン200mlとソルデム1の200ml、計400mlを点滴開始しました。
特別指示で訪問看護師にほぼ連日点滴を依頼。区分変更により要介護4となります。

BUNが94.9とさらに上昇。食事摂取量が少なく、点滴を週1~2回で継続。血液透析の説明をし、マイラン内服を
忘れないよう指導します。1月中旬から食欲が改善、水分摂取も多くなりました(BUN70.8、Cr3.57、Hb11.2)

転倒し腰痛のため寝たきり状態となります。服薬管理、食事準備等ヘルパーの介入を多くし、
長女に連日訪問するよう依頼します。寝たきり状態。BUN111.9まで上昇したため血液透析の説明を再度したところ、
拒否され自宅での看取りを希望された。サービス利用増加のため区分変更:要介護5 エンシュアリキッド内服開始。

1日3回のヘルパーと連日長女の訪問、訪看による点滴が功を奏し、BUN70に低下します。寝たきり状態だが、
以前のように注文をつけるようになります。状態が安定したので点滴は中止し、リハビリ目的で老健施設入所を勧めました。  

CASE2~メモ

独居、高齢の女性。長男は整形外科医師、ほとんど訪問せず、長女は連絡すれば訪問してくれる。

初回往診時からBUN57.3、Cr2.82、Hb8.2と高度腎不全、腎性貧血が認められました。

頑固で気が強く、医療・介護の両面において介入が難しい状態でした。

腎性貧血治療、鉄剤投与、適度の補液を行うことで血液透析を回避しながら自宅生活を継続できました。


在宅診療におけるネスプの有用性

  • 腎機能低下症例において、腎性貧血を治療することにより腎機能は改善することを経験した。
  • 腎機能低下が軽度である場合、通院は1~3か月ごとになることが多く、基本隔週で診察する訪問診療においてはネスプを早期から使用することが可能である。

QOL維持のために

  • 適切な治療・服薬管理・生活支援・リハビリ
  • 多職種の連携をスムースに
  • 情報の共有

※在宅・外来受診・入院におけるスムースな連携と情報提供をして、多くの病院と連携をとって患者様を様々な面からサポートさせていただきます。
ご不明な点や、ご相談がありましたらお気軽にすぎなみ在宅診療所までお問合せください。

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