第六回在宅医療勉強


すぎなみ在宅診療所で第六回在宅医療勉強会が行われました。今回の勉強会は、褥瘡と糖尿病の症例検討を行いました。
今回も多くの方にご参加いただきました。御礼を申上げます。また次回の在宅医療勉強会も何卒、宜しくお願いいたします。

在宅医療勉強会の様子
在宅医療勉強会の様子

第一回在宅医療勉強会の様子

第二回在宅医療勉強会の様子

第三回在宅医療勉強会の様子

第四回在宅医療勉強会の様子

第五回在宅医療勉強会の様子

在宅医療の症例検討

CASE1~褥瘡の患者様の症例

40年前にご主人と死別されてから独居生活となりました。
初回往診の2カ月前までは生活全般で自立していましたが、1カ月前から寝たきり状態となり、
関節痛を訴えるようになりました。(現症 高度難聴、全身衰弱、四肢関節の拘縮が高度、褥瘡等)
家族が区役所に相談に行き、当院を紹介され往診の運びとなりました。

2月16日よりエンシュアリキッド投与開始します。不良肉芽を切除しデブリ施行を行いました。
ユーパスタ処置開始し、週1回の往診と週3回の看護師訪問となりました。

3月2日から週5日の訪問看護ステーションが決まります。フィブラストスプレーを使用開始します。

同月19日 要介護3決定となり、すぐに区分変更。
その後の4月28日に要介護5が決定しました。

5月、「訪問入浴による清潔保持・車椅子レンタルにてできるだけ座位保持・
栄養改善・訪看による褥創処置と拘縮予防および座位保持訓練を続ける」事が会議で決定しました。

CASE1~メモ

寝込んでから1~2ヶ月と早めに医療が入れた。

糖尿病や内臓疾患など大きな合併症がなかった。

家族の介護力はなかったが、サービスを限度額一杯使うことを承諾していた。
それにより医療・看護・介護がうまく連携をとり、生活のペースをつくりあげた。

もともと独居であり、電化製品など生活必需品がそろっていたため、家族と時間を共有することなく、3食を提供できた。



糖尿病について

CASE2~褥瘡の患者様の症例

28年前から糖尿病の診断で通院していたが整形疾患もあり、本年1月より整形および糖尿外来に通院するようになりました。
血糖コントロール不良と診断され、内服とインスリン自己注射を組み合わせた治療と指導を開始されましたが、
朝の低血糖や食後高血糖が続き、HbA1cが徐々に上昇しました。家族は別に暮らしており、独居生活です。
自宅での食生活と内服・自己注射の管理を目的に8月当院からの訪問診療開始となりました。

初回往診 血液検査HbA1c12.0とさらに上昇しました。
8月の経過 インスリン量を朝14夕10に固定し、内服薬を追加しました。アマリール1㎎錠を2錠分2で開始。
内服を一包化し、薬局に依頼して訪問服薬管理にし、薬カレンダーを依頼しました。
お風呂が熱くなっているのに気づかず熱傷。水疱形成はありませんが、アズノール軟膏塗布を指示しました。
朝夕の自己測定血糖値が高く、アマリール内服を増量する。BUN/Crが上昇し、
かつ腎性貧血を認めるためエリスロポエチン製剤の皮下注射を開始します。

9月経過 自己測定血糖値にばらつき多いが、まだ高めで推移しているため、アマリール錠を最大量まで増量します。
調理に砂糖・みりんは使用せず、ダイエットシュガーを購入するよう指導しました。
夕食のみ配食弁当にして(1200Cal/日)メトグルコ錠を追加しました。夕食前の血糖がまだ高く、
メトグルコ錠内服を1日3回として、朝・昼に多めに内服するよう調整しました。
朝の血糖値が60~140に低下したので、夕のインスリン量を6に減量しました⇒HbA1c11.3

10月経過 血糖値:朝150~250夕300前後。メトグルコ錠をさらに増量します。
血糖値:朝110~320夕180~370。メトグルコ錠を2-3-1錠、1日6錠まで増量します。
冷蔵庫内にチョコレートやおはぎを発見し再度食生活について注意しました。
体力がないからと、嫌いなウナギを購入して食べました。さらに朝の自己測定値が288なので、
低血糖用のブドウ糖を飲んだと言います。血糖測定し450と高値⇒HbA1c10.8

10月経過 血糖値185~518。200台後半が多く、アクトス錠内服を追加します。インスリン注射を休止します。
朝の血糖430→朝のみインスリンを10単位で再開します。
ごはんと梅干しか食べたくない、他の食べ物を食しています。朝のインスリン10単位を自己注射していませんでした。
血糖は300~400だが、体調悪くふらつきを認めるため入院を勧めたが拒否するも、
後日電話で様子を聞くと、体調悪いと訴えます。
近くの病院に入院したいと希望あり、連携室を通じて入院を手配しました。

CASE2~メモ

独居、高齢の患者様で軽度の認知症に、難聴による聞き間違いと、思い込みによる勘違いが加わり、血糖値が不安定な状態が続いていました。

要介護1であり、サービスを多く利用できない状況です。

食事に対して誤解が多く、冷蔵庫の中を確認すると甘い物や高カロリーの食品が入っていました。

食べる量を減量させると低血糖となります。

糖尿病コントロールを自宅でする場合、家族あるいは介護・医療サービスを利用しなければ、なかなか成功しないと痛感した例でした。


在宅支援診療所について

在宅支援診療所とは?

  • 患者を直接担当する医師または看護師が、患者およびそのご家族と24時間連絡が取れる体制を維持すること。
  • 患者の求めに応じて24時間往診の可能な体制を維持すること。
  • 担当医師の指示のもと、24時間訪問看護のできる看護師あるいは訪問看護ステーションと連携 する体制を維持すること。
  • 緊急時においては連携する保険医療機関において検査・入院時のベッドを確保し、その際に円滑な情報提供がなされること。
  • 在宅療養について適切な診療記録管理がなされていること。
  • 地域の介護・福祉サービス事業所と連携していること。
  • 年に一回、在宅でお看取(みとり)した方の人数を地方厚生(支)局長に報告すること。

在宅支援開始理由とは?

  • 神経難病 25%
  • 糖尿病 7%
  • 癌末期 5%
  • 認知症 31%
  • 高齢のため 32%

すぎなみ在宅診療所への依頼元

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他職種との連携

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※在宅・外来受診・入院におけるスムースな連携と情報提供をして、多くの病院と連携をとって患者様を様々な面からサポートさせていただきます。
ご不明な点や、ご相談がありましたらすぎなみ在宅診療所までお問合せください。

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